2000年に『MILLENNIUM SHOCK』の名で幕を開けた作品が途中で名前を変え、今回の公演の千秋楽で上演回数が1500回に達するという。17年前に、当時、帝国劇場で「最年少座長」という記録を作って以来の時間を考えれば、かなりのスピードである。しかし、主演の堂本光一にとっては、上演回数は重要な問題ではなく、単なる「通過点」に過ぎないのだろう。この作品に一貫しているテーマである「Show must go on」の言葉通りに、まだまだこの舞台は続くはずだ。
今回は、キャストを大幅に入れ替え、衣裳や構成も一新し、1500回の節目を新たな気持ちで迎える意気込みが現われている。堂本光一が演じるコウイチが、ライバルである屋良朝幸のヤラとの「ショー」に対する考え方の違いからぶつかり、アクシデントが起きる。そうしたことを含めて厳しくも温かく見守る劇場のオーナー・前田美波里。この基本的な物語の構造は変わらずに、浜中文一、松田元太などの新しいメンバーが加わった。
単純に動きが激しいというだけではない舞台を座長としてカンパニーを率い、17年間にわたって続けるということは、ある種凄まじいことだ。その結果が、この公演の千秋楽に迎える1500回という数字になるが、過去には、怪我などの故障や、大道具の破損によるアクシデントなど、すべてが上手く行ったわけではない。それらの困難を乗り越え、多くの観客の熱狂的な支持を受けての結果だ。
このステージが何回まで続くかは神のみぞ知るところだが、いずれにしても2000年の第一回目がなければ、「今」のこの瞬間はない。第一歩を踏み出して以降、たゆみない努力と研鑽を重ねて来たからこその「今」なのだ。想像するに、彼は一年間の多くを、『Endless SHOCK』という舞台のクオリティを上げるために、相当の部分を費やしているのだろう。相変わらず軽々とフライングを見せ、激しい立ち回りをこなすが、ふとした瞬間に見えた腕の太さと、そこから想像する筋肉量を想像し、それを感じた。堂本光一には「王子」というファンの愛称があるためか、「華奢な美青年」のイメージが付きまとっていたが、それだけではない肉体と精神の充実感をそこに見た。こうした努力に感嘆する一方で、このまま彼は『Endless SHOCK』と心中をしかねないような感覚も一方では感じる。
ライバルの屋良朝幸が、構成の変化も加わり、堂本光一と互角に渡り合うような演技を見せ、改めて長足の進歩を見せたのも、今回の舞台の特徴だ。自分の前を疾走しているライバルの姿を見ながら、それに追い付こうと懸命に自らの心身を鍛えた結果だろう。芝居のしどころだけではなく、細かな部分も含めて、演技の寸法がグンと伸びた。今回の構成の変更による責任が、良い緊張感として舞台に出た結果だろう。
台詞の中に、「ステージは生き物だ。それに対応するのは当たり前だろう」との堂本光一の言葉がある。実際に、17年間を疾走して来た一人の俳優の言葉が、未来に向かって放っているようにも聞こえた。これから何回、このステージを踏み、何歳になるまでやるのか、あるいはやれるのか。それは、あまり考える必要はないのだ、と感じた。「今のこの瞬間」が大事であり、一回一回のステージを演じ切ることが、彼には何よりも大切なことだからだ。
それにしても、ここまでの努力には改めて感心する。